地域共創 企業に選ばれ、多様な人材が集まる札幌 ~『大札新』で変わる再開発の現在と未来~

BPO取材記事地域共創地方自治体札幌市

企業に選ばれ、多様な人材が集まる札幌 ~『大札新』で変わる再開発の現在と未来~

首都圏での人材不足や採用コストの高騰を背景に、地方進出を検討する企業が増えています。そうした中、札幌市では、若年層やUIターン人材の存在、快適な都市環境、都心部で進む大規模再開発、新たな企業立地支援制度を強みに企業誘致を推進しています。また、企業誘致スローガン『大札新』のもと、ビジネス都市としての新たな魅力の発信にも力を入れています。本記事では、札幌市企業立地課へのインタビューを通じて、企業に選ばれる理由と、これからの札幌の展望を伺いました。

Interviewee

札幌市 経済観光局 経済戦略推進部 企業立地課 立地促進係

係長 大山様、丸山様、相川様

観光だけじゃないビジネスの街『200万人都市・札幌』のリアルな現在地

ーー観光地として人気の高い札幌市ですが、まずは札幌市の企業誘致に関する現状を教えてください。

大山様:札幌は観光の街という印象が強いかと思いますが、実は、北海道全体の人口の約4割が集中している、200万人弱の規模を持つ大きな経済の中心都市です。
住環境の魅力やビジネス環境のポテンシャルを高く評価していただき、多くの企業様に集まっていただいておりますが、令和3年から4年頃からは札幌市も人口減少の局面に入りつつあります。だからこそ今、市としては、どのような企業が集まればより元気で魅力的な街であり続けられるかをこれまで以上に真剣に考え、戦略的な企業誘致に取り組んでいます。

ーー最近の札幌市における具体的な企業誘致活動の状況や、特に注力されている分野についてはいかがでしょうか。

丸山様:札幌市では、本市が目指す産業構造やまちづくりの方向性と合致する分野を見極めながら、企業誘致に取り組んでいます。
具体的には、過去に『サッポロバレー』と呼ばれるIT産業クラスターが形成されるなど、本市の強みの産業の一つであるIT企業の集積加え、近年は北海道全体で進むラピダスをはじめとした半導体関連産業の集積にも注目しています。特に、市内中心部に豊富なオフィスを有する本市の強みを活かし、オフィス環境を中心に事業展開できる半導体の設計・研究開発企業や、AI関連企業の誘致に力を入れています。こうした北海道の新たな産業動向を追い風に、札幌で事業拡大を目指す企業の皆様に進出いただき、地域全体の産業活性化につなげていきたいと考えています。

雪国の暮らしを支える、地下歩道とコンパクトシティの快適性

ーー札幌は冬になるとすごく雪が積もるイメージがありますが、実際のオフィス環境や、通勤・移動への影響について、札幌ならではの特徴を教えてください。

大山様:札幌は大規模なオフィスビルが札幌駅から大通駅、そしてすすきのへと続く中心部にほぼ集約されています。
本州の企業様からは、夏の観光時の快適さは知っていても、冬の通勤や移動は雪で大変なのではないかという懸念をいただくことがあります。しかし、地元で働く人間が強く実感している最大の強みが、札幌駅と大通駅を繋ぐ地下歩行空間、通称『チ・カ・ホ』の存在です。今まさに中心部で新しく建っている再開発ビルは、その多くが地下通路から直結する構造になっています。つまり、冬場に外に雪が積もって寒くても、一歩地下に入ってしまえば、傘もささずに、足元も気にせず快適にオフィスへ直結できるのです。家から地下鉄に乗ってしまえば、通勤のストレスはほとんどありません。この雪の日でも変わらない移動の快適さは、働く従業員の方々にとっても非常に大きな満足度に繋がっています。

札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)

ーー実際に札幌へ進出した企業の担当者や、転勤で移住してきた方々からのリアルな感想があれば教えてください。

大山様:札幌にずっと住んでいる人間にとっては当たり前すぎて気付かないのですが、東京からいらっしゃった方々から圧倒的に褒められるのが、自然の近さと街のコンパクトさ、整理された住みやすさです。駅の近くにオフィスがありながら、家賃が東京に比べて圧倒的に安く、広くて快適な家に住める環境は非常に喜ばれています。
それから、非常にユニークで切実な声として多かったのが、北海道にはスギ花粉がほとんどないため、花粉症のストレスから解放されて仕事の効率が上がったという点にあります。また、近年の夏の暑さについても、最高気温こそ35度を超える日が出てきましたが、本州と違って夜になるとしっかり気温が下がるのが特徴として挙げられます。朝、玄関を開けたときに本州のようなモワッとした熱気に包まれることがなく、爽やかな朝風を感じて通勤できるのです。こうした数字の最高気温だけでは見えない実際の過ごしやすさや、北海道に住む方々の人柄の穏やかさ・優しさが、働く従業員のモチベーションを支えています。

  • 冬のライフスタイル
    • 地下歩行空間で移動も楽々
    • 地下鉄なら雪も平気
    • 断熱構造で暖かい室内
    • 万全の除雪体制
  • 札幌のライフスタイル
    • スギ花粉がない
    • 梅雨がない
    • 台風がこない
    • ゴキブリがいない

UIターン人材と採用コスト

ーー拠点の立ち上げにおいて、経営者が気にするポイントとして、本当に現地で優秀な人が採れるかという点が挙げられます。札幌の人材市場のポテンシャルについてお聞かせください。

丸山様:札幌圏には北海道大学をはじめ、道内の高等教育機関や大学が多く集積しています。そのため、他の地方都市に比べて、圧倒的な学生数や若年層の豊富さを誇ることが一番の強みです。

大山様:これまで、北海道大学などの特に理系の人材が、卒業後に東京などの本州の大企業へ流出してしまうということが課題として語られてきました。しかし、裏を返せば、本州には北海道の良さを知っていて、チャンスがあれば戻って働きたいと思っている北海道出身者が一定数確実に存在するということでもあります。東京の企業様が札幌に拠点を出すとアナウンスした際、そうしたUIターンを希望する自社内の人材や地元に戻りたい潜在層が手を挙げ、驚くほどスムーズにコアメンバーが確保できたという声も耳にします。また、東京で新しく人を採用しようとすると、人材紹介会社への手数料を含め大きな採用費用がかかりますが、札幌ではその費用を大幅に抑えられるというコスト面のメリットも、進出企業様から大変喜ばれています。

0.74倍 札幌市
1.02倍 全国平均

有効求人倍率(2026年4月)

61.3% 理系
83.9% 文系

北海道内で就職を希望する市内大学生

災害リスクの低さが支える企業の地方分散

ーー札幌は災害リスクが非常に低いことも特徴の1つですが、BCP(事業継続計画)拠点としての需要はいかがでしょうか。

丸山様:災害リスクや他都市との同時被災リスクの低さが進出を決める大きな決めてとなっていることは確かです。ただ、東日本大震災直後の時期に比べると、足元でのBCPを主目的とした進出は落ち着いた印象はあります。しかし、近年、全国で自然災害が多発している中で、他都市との同時被災リスクが低いという事実は今後も札幌進出を決める上での重要な要素の一つであると確信しております。実際、金融系の企業様をはじめ、東京に本社機能やバックオフィスが一極集中していることへの危機感から、リスクの地方分散先として札幌を選び、本社機能や重要な拠点を移して安定稼働させている事例は今も脈々と続いています。

札幌進出への想いを後押しする支援制度

ーーここまで札幌の人材や環境のポテンシャルについて伺いましたが、実際に札幌を選ばれている企業様は、どのような理由やステップで進出されているのでしょうか。

丸山様:最近では、株式会社NSD様や株式会社ゴンドラ様に進出いただいております。これらの企業様の場合は、北海道・札幌に対して、すごくポテンシャルを感じてくださって、自発的にお問い合わせをいただいたり、あるいは経営者様が北海道出身であり、北海道を盛り上げたいとの強い思いをお持ちであるというような背景を持たれていました。

ーーなるほど、企業側の主体的な想いや繋がりがスタートラインにあるのですね。そこから、行政の支援制度(補助金)はどのように評価されたのでしょうか。

大山様:そうした想いを持ってくださっている企業様に対して、私たちは進出の検討段階から進出後のビジネス展開までワンストップで様々なサポートをしております。その中でも私たちが普段からセールスしている制度などで評価をいただいたというところでいけば、やはり、補助金は大きな進出のインセンティブになったのかなというふうに思っています。どれだけ土地に魅力を感じていても、いざ進出するとなればコストや採用面での不安が伴います。その決断の瞬間に「しっかり使える補助金がある」ということが、最終的に札幌へ進出を決めていただくための大きな後押しになったのだと感じています。

ーー企業側の想いと行政の支援がガッチリと噛み合っていたのですね。その「補助金」が、2026年4月からさらに強力にアップデートされたと伺いました。

大山様:はい。これまでのオフィスの賃料に対する補助を中心とした補助制度から、2026年4月からは新しく「雇用補助」という仕組みを追加しました。これは、正社員等を新規で雇用するなどで、増加した雇用人数に対し、上限はありますが、一人あたり最大で100万円の補助金を交付するなど積極的な雇用も後押しできる制度としました。

ーーこの新制度によって、これからの企業誘致や地方進出のあり方はどう変わっていくと期待されていますか。

大山様:最初は数名から十名程度の小さなオフィスから事業を始める「スモールスタート」の企業様であっても、現地の採用活動やビジネスの拡大に合わせて着実に人を増やしてステップアップしていく。そんな企業様の実情に合わせた段階的な挑戦を、この新しい制度でさらに強力にバックアップしていきたいですね。

このほか、特例子会社の新設や事業所の増設・産業団地への移転に係る補助制度もございます。補助制度や補助要件の詳細についてはこちら

『大札新』で目指す、これからの札幌

ーー2030年に向けて、札幌の都心部では大規模な再開発が進んでいます。市が掲げる企業誘致スローガンである、『大札新』への想いと、今後の展望をお聞かせください。

大山様:『大札新』という言葉は、令和3年に札幌市企業立地課が作成した企業誘致のスローガンです。主に首都圏の皆様に向けて、単なる観光都市ではなく、ビジネスの都市として「札幌が、大きく、新しく、変わる」という動きを発信するために作成しました。今、まさに中心部で新しい高機能なオフィスビルが次々と完成し、街の見た目自体が大きく変わり始めています。ただ観光が魅力の都市というだけでなく、ビジネスの都市としての魅力も伝えていきたいと考えています。新しく建つ高機能なオフィスビルの存在と、この『大札新』という発信をうまく連動させながら、進出企業様がここでなら新しいチャレンジができると確信できるビジネス環境をさらに整えていきたいと考えています。

まとめ:地方進出を迷っている経営者・担当者へのメッセージ

ーー最後に、首都圏での人手不足やコスト高騰に悩み、地方への拠点進出を迷っている企業の経営層や担当者様に向けて、メッセージをお願いいたします。

相川様:札幌は、平日も休日も充実した生活を送りながら、高い生産性でビジネスを成長させられる、素晴らしいポテンシャルを持った街です。実際に久々に札幌を訪れた本州の企業様からは、数年前のイメージとはガラッと変わり、新しいことが始まっている熱量を肌で感じるという言葉をたくさんいただいています。観光で来られた際でも構いません。もし街を歩き、新しく建ち並ぶオフィスビルや快適な「チ・カ・ホ」を見て、ここで自社の社員が生き生きと働いている姿が頭に浮かび、「札幌への進出も選択肢の一つかもしれない」と感じていただけたなら、ぜひ一度ご検討いただければと思います。札幌という魅力的な環境で過ごし、会社も人も一緒に豊かに育っていくような、そんな働き方を、札幌市は全力で、温かくサポートいたします。補助金を含め、進出にかかる幅広い支援をワンストップで実施しておりますので、ぜひ、いつでもお気軽に札幌市へご相談ください。

自治体名 札幌市
役所役場所在地 札幌市中央区北1条西2丁目 札幌市役所本庁舎15階
担当部署 札幌市経済観光局経済戦略推進部 企業立地課立地促進係
電話番号 011-211-2362
FAX 011-218-5130
MAIL [email protected]

出典:札幌市役所

自治体名 札幌市総務局東京事務所
事務所所在地 東京都千代田区有楽町2丁目10-1 東京交通会館3階
電話番号 03-3216-5090
FAX 03-3216-5199
MAIL -

出典:札幌市役所

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