ーーむつ市は自然が豊かな地域というイメージがありますが、進出された企業様からも自然環境について好評の声はありますか。
徳様:やはり「自然環境が素晴らしい」というお声を多くいただきます。下北地域は『下北ジオパーク』として、地質の観点から地域づくりに取り組む全国的な認定地域にもなっており、大自然のポテンシャルは非常に高いです。なかでも『恐山』は全国的に有名で、開山シーズンには多くの観光客で賑わいます。
ーー企業が新たな拠点を設ける際には、従業員が安心して暮らせる環境も重要な要素です。
徳様:企業様から進出後に「自然豊かでありながら、日常生活に必要な商業施設や医療機関、教育環境がしっかりと市内に整っているため、従業員が暮らす上で全く不便がない」と評価していただくケースが目立ちます。
市の中心部には商業施設や医療機関がコンパクトにまとまっているため、都市部から移住された方からも「日々の移動に負担がなく、想像以上に暮らしやすい」と好評です。
また、市としては子育て支援にも非常に力を入れています。『むつ市こどもの笑顔まんなか条例』のもと、子どもの医療費無償化や学校給食費の支援など、行政が幅広く子育て世代をサポートしています。通勤は自家用車を利用する方が主流ですが、市内には下北駅・大湊駅の2つの駅があり、市内循環バスも運行しているため、車を持たない方でも一定の利便性が確保されています。
ーー情報通信関連産業の誘致に注力されている背景について教えてください。
徳様:むつ市では進学や就職を機に市外へ流出してしまう若者が多く、『若者の地元定着』が大きな地域課題となっています。彼らが地元に住み続けながら先進的な仕事に就けるよう、情報通信関連の雇用を地域に創出することが極めて重要だと考えています。
そのため『むつ市企業誘致促進条例』に基づき、IT企業やコールセンターなどを幅広く支援対象に定めています。
ーー企業がスムーズに進出・稼働できるような、物件のサポート体制や拠点はあるのでしょうか。
徳様:象徴的な拠点として、2026年4月に開設した『むつまちなかオフィス』があります。旧下北観光物産館のリニューアルにより用途を転換し、むつ商工会議所をはじめ複数社がすでに稼働している新しいビジネス拠点です。
徳様:また、オフィス物件を一から探す企業に対しては、『下北むつ不動産協議会』と密に連携した『むつ市企業立地マッチング推進事業』を展開しています。商工労政課が総合窓口となり、地元の不動産業者からご要望に合う物件情報をまとめて集約し、物件探しからご紹介まで網羅した一連のサポートをワンストップでご提供しています。
ーー企業誘致だけでなく、むつ市独自の『新たな産業創出』の取り組みもあると伺いました。
徳様:近年は主に2つのアプローチで進めています。まず1つ目は、むつ市、むつ商工会議所、青森みちのく銀行、青森大学の4者が連携する新産業創出プラットフォーム『CROSS QUAD』の構築です。地域全体で仕事をつくる課題意識を共有し、金融機関も巻き込み会社設立まで結びつける枠組みは全国的にも珍しいと自負しています。実際、2026年4月に第1号案件として『リンテラス株式会社』が誕生し、すでに11名体制でスタートしています。
徳様:2つ目のアプローチは、進出企業様や地元企業様が安定して人材を確保できる体制づくりです。その一環として、2026年6月に青森労働局およびハローワークとの間で『雇用対策協定』を締結しました。 行政と労働局がこれまで以上に緊密にタッグを組み、求人情報の効果的な発信や、合同企業説明会などを通じて、進出企業様の人材確保を強力にバックアップできる体制を整えています。
ーー進出企業様から、むつ市で働く『人材』についてはどのような評価がありますか。
徳様:進出された企業様からは、とにかく「真面目」「実直で責任感が強い」といった高い評価をいただいています。また、定着率が良いというお声も多いです。
ーー若者の採用を成功させるために、市ではどのようなサポートを行っていますか。
徳様:企業様と地元の学生を繋ぐため、様々な取り組みを行っています。
例えば、高校生を対象とした『企業見学会』です。なかなか採用が上手くいかないと悩まれていた誘致企業様に「ぜひ出展してみませんか」とお声がけしたところ、見学会をきっかけに見事採用に繋がった事例もあります。地元の工業高校から誘致企業へ就職した先輩社員が、今度は説明する側として見学会に立ってくれるといった好循環も生まれています。
また、地元の子どもたちが「地元にどんな魅力的な企業があるかを知らない」という課題もありました。そこで、中学生が幅広い職種での職場体験を行えるよう、市が窓口となって受け入れ企業を募集し、集まった約100社の企業情報を市内の中学校や教育委員会へ繋ぐ取り組みも行っています。
ーー地域の高等教育機関(大学・短大)との連携や、Uターン・Iターン層の呼び込みについてはいかがでしょうか。
徳様:青森大学むつキャンパスからは2026年春に初の4年制卒業生が誕生し、在学中にインターンシップなどでお世話になった地域の企業様へ実際に就職した事例もございます。青森明の星短期大学においも、これまでの卒業生が市内企業や行政の職員など幅広く活躍しています。
一方で、やはり一度は進学等で首都圏に出てしまう若者も一定数います。そうした市外にいる若者たちに対し、「むつ市には今、こんなに面白い企業や仕事がある」という情報をしっかり届ける仕組みを強化したいと考えています。現在は、独自の『人材バンク』のような仕組みの構築や、首都圏での移住・就職イベントの開催など、具体的な仕掛けをまさに検討しているところです。
ーー情報通信関連企業がむつ市に進出する際、実際に活用できる支援制度にはどのようなものがありますか。
徳様:主に3つの助成金制度を設けています。実際に進出された情報通信関連の誘致企業様には、ほぼすべてのメニューをフル活用していただいています。
ーーこれだけ手厚い制度を運用するにあたり、組織として意識的に取り組んでいることはありますか。
徳様:かつては企業誘致といえば我々商工労政課だけで動くことが多かったのですが、市内で若者が働く場の創出が課題だという認識から、全庁的に企業様への対応をしていく必要があるということで、全庁横断の組織として『むつ市稼げる地域推進本部』を設置しました。
市長を本部長、副市長を副本部長とし、部長級職員が参画する強力な部局横断体制です。企業誘致に関する重要情報の取り扱いには厳重に注意しつつ、用地、インフラ、各種行政手続きなどの課題を、組織の壁を越えて迅速にクリアできる体制を整えています。
進出をご検討されている企業様は、まずは窓口である商工労政課にご相談いただければ、物件探しから人材確保、各種手続きまで、私たちがワンストップで責任を持って伴走いたします。
ーーむつ市に実際に進出された先進事例として、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)大手の株式会社エスプールグローカル様が挙げられます。進出のきっかけは何だったのでしょうか。
徳様:当時、むつ市内に大手企業の事業所があり、500人ほどの従業員の方がいらっしゃったのですが、その事業所が閉鎖されることになり、大量の離職が発生したタイミングがありました。そこで当時の市長を中心に、雇用の確保ということで企業誘致に取り組む中で、そういった背景やさまざまな要素が重なったものと思います。物件については、現在市庁舎内に入居いただいており、そこも市の方で調整させていただきました。
ーー自治体として、近くにBPO企業があることによる具体的な効果をどう実感されていますか。
徳様:非常に大きな効果を感じています。例えば緊急の物価高騰対策などを実施する際、市の職員だけで市民の皆様からの膨大な問い合わせ電話に対応しようとすると、それだけで業務が手一杯になってしまい、他のコア業務や迅速な支給手続きが滞ってしまうことがあります。
そこを同社が担ってくださることで、問い合わせ対応がスムーズになるだけでなく、我々行政側もより深い地域課題の解決や企画業務に注力できるようになります。事業を迅速かつ円滑に進める上で、非常に助かっています。
ーー現在は市役所の本庁舎内で稼働されているとのことですが、むつ市の行政業務なども委託されているのですか。
徳様:はい、様々な行政業務をパートナーとして委託させていただいています。例えば、物価高騰対策の給付金事業における市民の皆様からの電話・窓口対応などをお願いしています。
ーー最後に、今後の展望と進出を検討されている企業様へのメッセージをお願いします。
徳様:当市の最大の課題は、やはり若者が進学や就職のタイミングで市外へ出ていってしまうことです 。しかし、それは地元に魅力的な仕事があることや、地元の素晴らしい企業の存在がまだ若者に届いていないからだとも捉えています。
だからこそ、これまでお話しした『CROSS QUAD』での仕事づくりや、学生向けの見学会、手厚い支援制度といった点と点をすべて線で結び、若者が「むつ市に住み続け、この街で働きたい」と思える環境を作っていきます。
むつ市は単に企業を『呼んで終わり』の自治体ではありません。長く事業を続けていただき、地域とともに成長していけるパートナーとして、どこよりも企業に寄り添い、伴走し続けます。まずはどんな小さなことでも、お気軽に商工労政課へご相談ください
むつ市詳細ページ