地域共創 洲本市が語る企業誘致戦略~地域課題に向き合う支援制度と企業誘致の取り組み~

BPO取材記事地域共創地方自治体洲本市

洲本市が語る企業誘致戦略~地域課題に向き合う支援制度と企業誘致の取り組み~

淡路島の中央に位置し、神戸・大阪への良好なアクセスを併せ持つ兵庫県洲本市。これまでに20の事業所を企業誘致条例に基づく奨励措置の対象として指定しており、令和7年度も新たに3件が指定されるなど、制度の活用が着実に広がっています。淡路島ならではの地理的条件を踏まえた独自の支援策や、地域との連携のあり方について、産業振興部商工観光課の皆様にお話を伺いました。

Interviewee

洲本市

産業振興部次長 兼 商工観光課 課長 河浪 祐一様
商工観光課 商工労政係 係長 近本 健様
商工観光課 商工労政係 主査 福島 太様

洲本市の立地環境と支援制度

ーー洲本市の人口や交通アクセスなど、立地環境に関する具体的なデータを教えてください。

近本様:淡路島の中央部に位置する洲本市は、人口約4万人の都市です。交通アクセス面では、本州と四国を結ぶ大動脈である『神戸淡路鳴門自動車道』が南北を縦断しているほか、島内の幹線である国道28号線や主要地方道が地域拠点間を結んでおり、優れた交通利便性を有しています。

神戸淡路鳴門自動車道を利用した場合、洲本ICからの主要都市への移動距離と車での移動時間

垂水(垂水IC / 神戸淡路鳴門自動車道)
約33km、車で約35分
神戸(生田川出入口 / 阪神高速3号神戸線)
約60km、車で約50分
大阪(海老江出入口 / 阪神高速3号神戸線)
約86km、車で約1時間15分
徳島(鳴門IC / 神戸淡路鳴門自動車道)
約43km、車で約30分

また、洲本IC~津名一宮IC間(約4km、車で約3分)の区間に『淡路島中央スマートIC(SIC)』が平成30年2月に供用開始されたことで、交通の便の向上につながっています。

ーー企業誘致条例に基づく各種奨励金について、手続きの流れや適用条件の詳細を教えてください。

近本様:誘致条例に基づく支援には『企業誘致奨励金』『雇用促進奨励金』『事業所施設設置奨励金』の3つがあります。申請手続としては、事業所の新設等にかかる工事着手の3か月前までに事前相談・申請をしていただき、審査会を経て指定事業者として承認された後、奨励金の申請・交付手続きを行う流れとなります。具体的な要件と支援内容は以下の通りです。

企業誘致条例に基づく支援一覧

企業誘致奨励金
申請の要件: 投下固定資産額(家屋及び償却資産)が5,000万円以上で、事業所の新設、拡張又は移設を行うこと。 
支援内容・期間(5年間):
新設: 固定資産税額相当額を交付。 
拡張: 固定資産税額相当額(拡張部分)を交付。 
移設: 固定資産税額相当額の2分の1を交付。
雇用促進奨励金
交付要件: 操業開始時に新たに雇用された者(正規雇用従業員)で、1年以上継続して雇用された市内在住従業員(本市の住民基本台帳に記録されている者)がいるとき。 
支援内容: 従業員1人につき30万円(上限1,000万円、1回限り)。
事業所施設設置奨励金
交付要件: 正規雇用従業員が10人以上で市内在住従業員が半数を超え、かつ新たに建築した事業所の床面積が1,000㎡を超えるとき。 
支援内容: 床面積1,000㎡を超える部分につき1㎡あたり1万円(上限1,000万円、1回限り)。

※最新情報は公式HPをご確認ください。

ーーこれまでの企業誘致の実績について教えてください

福島様:本市では企業誘致条例に基づく奨励措置の対象として、これまでに20の事業所を指定しています。直近の令和7年度には3件の事業所を指定しており、現在、操業開始に向けて整備が進められています。淡路島外からの新規進出、市内企業による事業所拡張など、さまざまなパターンでこの制度を活用いただいています。

離島ならではの課題を見据えた『高速道路通行料金助成制度』

ーー洲本市では、高速道路通行料金の助成制度も設けられています。この制度は、どのような背景から生まれたのでしょうか。

近本様:淡路島は明石海峡大橋や大鳴門橋によって本州・四国と結ばれており、神戸へ約50分、大阪へ約90分と、都市部へのアクセスに恵まれています。一方で、以前は橋を利用する際の高速道路の通行料金が高額だったため、企業にとって大きな経済的負担となっていました。
特に、本社との往来が多い企業や、資材・製品を頻繁に輸送する物流・製造業では、渡橋料金が事業運営における負担の一つとなっていたことから、その負担を少しでも軽減するために、高速道路通行料金の助成制度を設けました。
現在は高速道路料金の割引制度が適用されていることもあり、以前と比べると企業の負担は大きく軽減されています。

ーー現在は制度の利用状況はいかがでしょうか

福島様:現在は高速道路料金の割引があるため、この助成制度の利用件数は当初想定していたほど多くはありません。一方で、企業誘致奨励金は多くの指定事業者にご活用いただいており、企業立地を支える基本的な支援制度となっています。
ただ、高速道路料金の割引制度が将来的にも継続されるとは限りません。もし割引が見直されれば、企業にとって渡橋料金の負担は再び大きくなる可能性があります。
そのため、この助成制度は現在の利用状況だけでなく、将来的な制度変更に備え、企業が安心して事業を継続できる環境を整えるための支援策として、大切な役割を果たしていると考えています。

人材不足の現実と『奨学金返還支援』『広域連携』での取り組み

ーー地方進出を検討する企業にとって「地方で本当に人を採用できるのか」という人材確保の不安も非常に大きいと思います。洲本市の雇用の現状について教えてください。

河浪様:洲本市としては、企業誘致を通じて地域に雇用を生み出し、地元で働く人を増やしていきたいと考えています。しかし現状では、有効求人倍率がおよそ2倍と、求人数に対して働き手が不足している状況です。つまり、「仕事はあるものの、人材の確保が容易ではない」というのが地域の実情です。
また、人口減少や若年層の流出も続いており、「市内に進出すれば自然と人材が集まる」という状況ではありません。そのため、市としても制度を案内するだけではなく若者の定着やUIJターンの促進、企業の採用支援など、人材確保につながる取り組みを地道に進めています。

ーー具体的な採用・定着支援の取り組みについて教えてください。

近本様:一つは『奨学金返還支援補助金』です。洲本市に居住・就業する若手やUIJターン人材を対象に奨学金の返還費用の補助を行っていますが、特に市内の事業所に就業した場合には補助額を増額上乗せする仕組みも取り入れています。若者の経済的負担を減らすと同時に、地元企業・進出企業への就職と定着を直接的に後押しするための仕掛けです。
もう一つは、行政の枠を超えた広域での採用バックアップです。兵庫県、淡路島内の3市(洲本市・南あわじ市・淡路市)、商工団体、企業などが一体となって『淡路地域人材確保協議会』を組織しています。個別の企業1社だけでは阪神間などで大規模な採用活動を行うのは予算的にもマンパワー的にも難しいのが実情です。そこでこの協議会を通じ、島内だけでなく阪神間でも合同企業説明会を開催し、広域の求職者に向けて進出企業の求人情報を直接アピールする場をセッティングしています。

産業用地と『民有地活用』における柔軟な対応

ーー工場の建設や事業所の拡張にあたって、土地(産業用地)の確保はどのように行われているのでしょうか。

近本様:現在、市としては用地不足も課題です。農地から産業用地に整備するには、時間を要します。ですので、進出企業が求めるスピード感に対応できる用地の確保がなかなか難しいのも現状です。

ーー市有地が少ない中で、どのように企業誘致を成立させているのですか。

河浪様:企業様が自ら民間の土地を探して取得・整備し、進出や既存工場の拡張を行うケースが増えていますが、当市では市有地での進出か民有地での進出かを区別していません。民間の土地を取得・整備して進出・拡張される場合であっても、投資額や雇用等の要件を満たしていれば、企業誘致条例に基づく奨励措置(固定資産税相当額の支給など)を変わらず柔軟に適用しています。
また、対象とする業種についても特定の産業に制限を設けていません。製造業や物流業はもちろん、食料自給率の高さや環境への取り組みを生かせるフードテック・環境関連事業なども親和性があると考えており、大規模な工場進出だけでなく、オフィス賃料補助を活用した小規模なオフィス進出にも柔軟に対応しています。

操業後のフォローと、地域社会との連携

ーー事業所が開設され、操業を開始した後のフォローや地域との関係性について教えてください。

近本様:誘致担当としての役割は、企業が進出して操業を開始してからも続くと考えています。操業後も、手続き案内などで定期的にコンタクトをとる機会がありますので、その際に近況を伺うなど、状況を把握できるよう努めています。それ以外にもいつでも相談をお受けできるよう窓口を設置して、関係機関と連携したサポートを行っていますので、お気軽にご相談いただければと思います。

ーー地域との連携活動とは、具体的にどのようなことを行っているのでしょうか。

福島様:市として、立地企業と地元地域との連携にはできるかぎりの支援を行っています。最近の例では、新工場竣工時に地元中学生を招いてピアノコンサートを開催するなど、企業側からも積極的に地域住民との交流を図っていただいております。
また、進出企業に限らず、万が一の災害発生時に企業の施設を地域の避難場所等として活用するための『防災協定』を締結いただくなど、地域社会との関係づくりを支援しています。

洲本市への進出を検討する企業へ

ーー最後に、洲本市への立地・進出を検討されている企業の皆様に向けてメッセージをお願いします。

近本様:淡路島の中央に位置する洲本市は、神戸や大阪への優れたアクセスを持ちながら、各種奨励金などの支援制度を整え、業種や規模を問わずすべての企業の皆さまを歓迎しています。
ですが、本市の魅力や可能性は、写真や資料の数字だけではなかなか伝わりきらない部分もあります。ですから、ぜひ一度現地に足を運んで、淡路島の海や山、空といった自然を直接見て感じていただきたいですね。

河浪様:私自身も今年度からこちらに来た立場として実感しているのですが、洲本市は本当に自然が豊かで、何より「人」が温かいまちです。市役所の近くにある商店街をはじめ、外から来られた方も含めて温かく仲良くやっていくコミュニティがあり、優しい方が本当にたくさんいらっしゃいます。
また、美しい海水浴場や城郭といった観光資源、西側の夕日がきれいな五色エリア、漁港がある由良エリアなど、市街地から少し足を伸ばすだけで多様な魅力や美味しい食に触れられるのも当市ならではの強みです。

福島様:こうした洲本市の環境は、働く従業員の方々にとって「住んでいること自体が福利厚生」と言えるような、ゆったりと人間らしい生活を送っていただける拠点になるはずです。実際に、社長様ご自身がこの環境を気に入って進出を決めてくださったケースもあります。
まずはワーケーションやテレワークなどをきっかけにお越しいただき、洲本市の魅力を知っていただければうれしいです。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

洲本市PR動画
自治体名 洲本市
役所役場所在地 兵庫県洲本市本町3-4-10
担当部署 商工観光課
電話番号 0799-24-7613(商工観光課 直通)
FAX 0799-23-0978
MAIL [email protected]
自治体名 洲本市役所五色庁舎
事務所所在地 兵庫県洲本市五色町都志203
電話番号 0799-33-0160(代表)

出典:洲本市役所

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