
BPOは多くの企業にとって業務効率化の鍵となる一方、導入時の準備不足や運用のミスが思わぬ失敗を招くことがあります。
本記事では、BPOでよくある失敗事例をご紹介します。BPO導入時に意識するべきポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
BPOでよくある失敗事例6選
多くの企業で導入されているBPOですが、十分な準備や運用体制を整えていなければ、期待した成果が得られないこともあります。以下では、BPO導入においてよくある失敗事例をご紹介します。
失敗事例1. 適切な評価基準がないままベンダーを選んだ
BPO導入の際、コスト削減を優先しすぎてベンダーを選定した結果、思わぬトラブルが発生するケースがあります。
例えば、コンペでもっとも安価な業者を選定した結果、対応品質が低く、クレームや遂行遅延・解約が発生、売上ベースで数千万円程度の支障が出たという失敗例です。このような事態は、選定時に社内体制・現場担当者の経歴やスキル、主要取引先などの評価基準を十分に設けていなかったことが原因です。
ベンダーはQCD(ベンダー品質、コスト、デリバリー)を多角的に評価する必要があります。
失敗事例2. スピード感が合わなかった
BPOを導入する際、業務スピードへの期待とベンダーの実際の対応能力が合わずにトラブルが発生することがあります。例えば、日々のニュースや情報を扱うクライアントが、WEBの更新やバナー・広告制作をBPO企業に委託したケースです。この業務では、正確性とともに当日中の納品が求められましたが、ベンダーがこのスピード感に対応しきれず、最終的に契約が解消される結果となりました。
このような問題の背景には、クライアント側が求めるスピードや業務の特性が事前にベンダーに正しく共有されていなかったことが挙げられます。特に、ニュースや広告制作のように短期間で成果を求められる業務では、作業フローの設計やリソースの確保がベンダー側で不十分な場合、期待値に応えることが難しくなります。
このような失敗を防ぐには、導入前の段階で業務の特性や納期の要件を具体的に共有し、対応可能なベンダーを選定することが重要です。また、トライアル期間を設けて実際の対応能力を検証することで、両者のスピード感をすり合わせることが有効です。
失敗事例3. かえって担当者の工数が増えてしまった
BPOを導入することで業務効率化を図るはずが、逆に社内の担当者の工数が増えてしまうこともあります。
例えば、ベンダーに作業依頼をする際、必要な資料やデータを準備する工数がかかり、さらに成果物を確認・修正する工数が加わりました。また、ベンダーとの認識のズレや品質のばらつきが原因で手戻りが増え、最終的には「社内で作業した方が早い」という結論に至ったケースです。
問題の要因には、依頼内容の共有方法や成果物の基準設定における曖昧さが挙げられます。特に、依頼フォーマットが統一されていない場合、担当者間での認識のズレが発生しやすいでしょう。
対策として、BPO導入前にベンダーとの業務フローを事細かに設計し、依頼プロセスを明文化することが不可欠です。さらに、導入初期にトライアル運用を実施してベンダーの作業精度や対応能力を確認することで、依頼内容のギャップを縮められます。
失敗事例4. 業務分担の範囲が不明確だった
BPO導入時に業務範囲が曖昧なまま進めた結果、責任の所在が不明確になり、業務が停滞したケースも散見されます。
具体的には、アポ獲得を目的としたコールセンター業務をBPOで外部委託した際、トークスクリプトの作成や勤怠管理はベンダー側が担当する一方で、成果へのコミットや業務フローの改善はクライアントが行うといった認識のズレはよくある失敗です。
このような失敗を防ぐには業務範囲を文書化し、どの部分が自社の責任でどの部分をベンダーが担当するのかを明確に定義することが重要です。フローチャートや責任分担表を作成し、関係者全員で共有することで、タスク漏れや重複を防ぎ、スムーズな連携が実現します。
失敗事例5. 委託範囲を拡大しすぎた
BPOを導入する際に業務範囲を広げすぎた結果、管理不能に陥ることがあります。
例えば、データ入力業務を月500件の規模で委託していた企業が、成果を十分に確認する前に、顧客対応や在庫管理など複数の業務を追加委託しました。その結果、ベンダーの対応力が限界を超え、納期遅延やミスが発生。1ヶ月間で売上が15%減少し、顧客からのクレームが20件以上に上ったという事例があります。
問題の背景には、初期段階での計画不足があります。段階的な拡大を計画せず、業務を「後付け」で追加してしまうことで、コストやプロジェクトが複雑になり制御不能に陥ります。
こうしたリスクを避けるためには、まず小規模な範囲でBPOを導入し、3ヶ月ごとに成果を確認しながら段階的に業務範囲を拡大する計画を立てることが重要です。
失敗事例6. 逆にコストがかさんでしまった
BPOを導入したにもかかわらず、結果的にコストがかさむケースがあります。
その一例として、上層部の希望として月に150件の作業量を外部委託する計画で稟議を通し導入をスタートしたものの、実際には担当者が依頼できる作業量が希望の半分ほどに留まったというケースがあります。このギャップにより、1件あたりのコストが割高になり、当初期待していたコスト削減効果が得られない結果となりました。
こうした失敗を防ぐには、導入前に上層部と現場担当者の間で緻密なすり合わせを行い、現実的な作業量を見積もることが重要です。また、トライアル運用を通じて実際の依頼可能量を確認し、契約条件を見直す余地を残しておくことで、過剰なコストを抑えられます。
BPO導入時に意識するべきポイント

BPOを成功させるには、事前の準備と適切な運用が欠かせません。以下のポイントを参考に、導入時の注意点を確認しましょう。
BPO導入の目的と目標を明確にする
BPOを導入する際、導入目的と目標を明確に定めることが重要です。例えば、「コスト削減率10%」「業務効率化率20%」「顧客満足度の向上」など、数値化された目標を設定することで、成果を明確に評価できます。
導入前にチーム全体で目標を共有し、KPIに基づいた評価方法を事前に決めておくことが、成功の鍵となります。
委託業務の範囲を明らかにする
BPOの導入を成功させるには、どの業務を委託し、どの業務を社内で維持するかを慎重に選定することが重要です。
繰り返しが多い定型業務やノンコア業務は、BPOに適している場合が多く、委託することで効率化が図れます。一方で、戦略的判断が必要な業務や顧客対応が重要な業務は、社内で管理する方が適切です。
事前に業務の優先順位を整理し、委託範囲を文書化してベンダーと共有することで、スムーズな運用が可能になります。
社内の受け入れ体制を整備する
BPOをスムーズに導入し、効果を最大化するには、社内の受け入れ体制を整えることが欠かせません。
具体的には、業務フローや分担表を作成し、全社員で共有することで、役割や責任の所在を明確化します。また、BPO導入によって新たに必要となるスキルや知識を補うため、定期的に業務を学習する機会を設けることも重要です。
複数のベンダーを比較して選定する
BPO導入を成功させるには、ベンダー選定の段階で十分な比較検討を行うことが重要です。実績や専門知識、サポート体制、セキュリティ体制など、多角的な観点から評価し、複数のベンダーを比較することで最適なパートナーを見つけられます。
委託先と定期的にコミュニケーションを取る
BPOの効果を最大化するには、委託先と定期的にコミュニケーションを取ることが重要です。定例ミーティングや進捗報告の場を設け、課題や改善点を共有することで、双方の認識を揃えられます。これにより、トラブルを未然に防ぎ、業務効率を維持することが可能です。
まとめ
BPO導入の成功には、目的の明確化や業務範囲の選定、コミュニケーションが重要です。
失敗事例を参考に、継続的に業務を進められるBPOベンダーを選んでいきましょう。
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POINT -
メディアリテラシーの高いBPO企業を選ぼう!