業務形態の分類
企業が人材を活用する際、業務形態には違いがあります。
業務形態には、直接雇用と間接雇用があり、それぞれの雇用形態についてさらに分類されています。
雇用形態とは、労働者と雇用主との間で定めた労働関係の形態や契約を指し、それぞれの形態によって労働条件や業務内容、また給与や福利厚生などが異なります。
主な雇用の形態について解説します。
直接雇用
直接雇用は、その名のとおり企業と労働者が直接契約を交わし、労働者が企業に対して労務を提供し、直接報酬を得る形態です。
直接雇用には次の区分があります。
-
- 正社員
- 正社員は、雇用期間を定めずフルタイムで勤務する雇用者(正規雇用者)です。
- 現在では働き方の多様化によって、時短勤務や変則型勤務など様々な勤務時間の社員が存在しています。
- 総務省の統計によると、2022年の日本での正規雇用者数はおよそ3,597万人で、ここ10年では増加傾向にあります。
-
- 契約社員
- 契約社員は、一定期間の雇用契約下で就労する労働者です。
- また、雇用期間以外でも雇用条件や福利厚生などが正社員と異なる場合があります。
-
- パート・アルバイト
- パートタイムとアルバイトは、1週間の所定労働時間が正社員と比べて少ない短時間勤務の労働者です。
間接雇用
間接雇用は、企業と労働者の間で直接の雇用契約がなく、第三者を通じて間接的に契約する形態です。
派遣とBPOはこちらの分類に含まれますが、正式には雇用契約ではありません。
-
- 派遣
- 派遣社員は、企業と直接雇用契約を結んでいない労働者で、雇用主は派遣会社となります。
- 就業先は派遣先企業で、派遣先企業が就労者に業務を指示することが可能です。
-
- 外注
- 外注は、文字通り外部の業者や個人事業主に仕事を発注する形態です。
- 外注は「外部注文」という表現の略称で、一般的には「外部の業者などに仕事や物品・サービスの提供を発注すること」と定義されます。
- このため、外注は(後述する)戦略性が求められるBPOとは異なり、単に発注元企業から指示された業務や納品物の製作をこなす業務の意味合いが強いものとなります。
- 外注はさらに業務委託と業務請負に分類されます。
- 「業務の遂行」に対して対価が支払われる業務委託に対して、業務請負は成果物が発生するような「業務の完遂」に対して対価が支払われるといった違いがあります。
- つまり業務委託では企業の指示の元に業務プロセスを行うことが多く、業務請負では事業者が自由裁量を持って成果物の納品を目指します。
-
- BPO
- BPOは、単なる外注とは異なり、自社の業務プロセスを外部の企業に委託する経営戦略を指します。
- 企業のビジネスプロセスの一部をBPO事業者に任せることにより、単なる業務の代行だけではなく、経営戦略の一環として業務を運用します。
- これにより、企業運営の最適化や効率化などを図り、経営にさまざまなメリットをもたらすことを目的とするものです。
- 総合的にいえば、業務の一部だけを外部に任せるのであれば外注、経営改善や見直しも目指す場合はBPOが最適です。
それぞれのメリット・デメリット
それぞれの業務形態におけるメリットとデメリットについて解説します。
直接雇用
直接雇用の主なメリットとデメリットは次のとおりです。
-
- 正社員
- 正社員雇用の主なメリットは、従業員本人のモチベーションが高まるため優秀な人材の確保がしやすくなることや、長期的な視点で人材育成が可能となることが挙げられます。
- 一方、デメリットとしては人件費の負担が重くなることや、法制上解雇が難しく、人材の流動性が妨げられることなどが挙げられます。
- また、従業員の人事管理や労務管理が必要となります。
-
- 契約社員・パート・アルバイト
- 契約社員やパート・アルバイトの主なメリットは、経験やスキルが不足していても雇用が可能で、企業の需要に合わせて労働力を確保・調整することが可能な点が挙げられます。
- デメリットとしては、希望する優秀な人材が確保できず、中長期的な人材育成が困難な点などが挙げられます。
間接雇用
間接雇用の主なメリット・デメリットは次のとおりです。
-
- 派遣
- 人材派遣の主なメリットは、採用コストや労務管理コストが削減でき、即戦力の人材を確保できる点が挙げられます。
- また、出勤日や時間、契約期間も柔軟に設定可能なため、人件費の削減が可能となるメリットもあります。
- デメリットは、派遣期間に制限がある点や、派遣禁止業務がある点などが挙げられます。
-
- 外注
- 外注はクライアント企業から与えられた業務を遂行することが目的のため、定型業務などには適しています。
- その一方、戦略性のある業務には向かないデメリットがあります。
-
- BPO
- BPOは「業務遂行」自体を目的としているため、就労者個々への俗人的なスキルを考慮する必要がないのが特徴です。
- BPOベンダーがこれまで蓄積してきた経験やノウハウ、実績が適用されるので、品質向上やコスト削減が期待できます。
- また、企業にとっては就労者に対する直接の業務管理が不要のため、採用や教育、管理が不要となり、継続的な依頼が可能となるメリットがあります。
- デメリットとしては、事業を依頼した企業にとっては日々の業務内容などが把握しにくくなり、また成果を踏まえたノウハウが自社に蓄積されないことが挙げられます。
BPOに適した分野
上記の業務形態における違いを踏まえた上で、企業がBPOを採用するのに適した分野について解説します。
概していえば、自社業務のうち主軸ではない「ノンコア業務」を外部のBPO事業者に委ね、自社の中心業務である「コア業務」に専念することがポイントとなります。
具体的には次のような場合が挙げられます。
-
- 定型・反復業務を委託する
- マニュアル化が可能な定型・反復業務を委託します。この場合、BPOベンダーは過去の経験から培ったノウハウが活かせるため、早期にメリットを得られます。
-
- マネジメントを委託する
- 業務におけるマネジメント機能を委託することで、当該業務を安定的に継続でき、新規採用や教育が不要です。
-
- 業務集約・集中型のセンター機能を委託する
- 業務集約・集中型のセンターでの処理を依頼することで、業務のスピードと正確性が向上し、トータルコストが大きく削減できます。
まとめ
BPOと外注、派遣、直接雇用など各種業務形態の違いとそれぞれのメリット・デメリット、またBPOに適した分野について詳しく解説しました。
多くの企業にとって、自社リソースを効果的・効率的にするためには、BPOの活用が喫緊の課題となっています。
この記事を読んで、今後BPOの活用に関心のある企業は是非ご活用ください。