海外のBPOを選択するメリット
まずは海外のBPOを選択するメリットとして、代表的な国別に強みや特徴を紹介します。
国 | 強み・特徴 |
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インド |
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中国 |
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ベトナム |
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フィリピン |
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各国で得意とする業態や特徴があるので、自社がBPO化する際に、最も適した国を選ぶようにしてください。
海外のBPOを選択する際の注意点
海外のBPOに関してはメリットも重要ですが、注意点の把握やその対応方法もより重要となります。ここでは以下3つの注意点とその対策を解説します。
- サービス品質の維持・向上に関する課題
- 言葉の壁の課題
- セキュリティ面の課題
注意点①サービス品質の維持・向上に関する課題
海外BPOを利用する際の一つの課題は、サービスの品質管理です。
異なる文化やコミュニケーションスタイルが原因で、期待した品質が得られないことや品質が低下していくケースがあります。
品質を確保するためには、以下の点に注意してください。
<%#厳格な契約管理 | 具体的な品質基準を明記したSLA(Service Level Agreement)を策定し、これを遵守することを義務付ける |
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定期的なパフォーマンスレビュー | 定期的にBPOパートナーのパフォーマンスを評価し、必要に応じて改善を求める |
コミュニケーションの強化 | 日常的なコミュニケーションを強化し、問題が発生した際には迅速に対応できる体制を作る |
トレーニングと教育 | BPOスタッフに対して定期的なトレーニングを実施し、自社の品質基準や業務プロセスを徹底的に理解させる |
- 厳格な契約管理
- 具体的な品質基準を明記したSLA(Service Level Agreement)を策定し、これを遵守することを義務付ける
- 定期的なパフォーマンスレビュー
- 定期的にBPOパートナーのパフォーマンスを評価し、必要に応じて改善を求める
- コミュニケーションの強化
- 日常的なコミュニケーションを強化し、問題が発生した際には迅速に対応できる体制を作る
- トレーニングと教育
- BPOスタッフに対して定期的なトレーニングを実施し、自社の品質基準や業務プロセスを徹底的に理解させる
海外のBPOを選択した場合でも、契約管理や定期的なレビュー、密なコミュニケーションやトレーニングを地道に実施することで、サービス品質を落とさず企業イメージを維持することが可能です。
注意点②言葉の壁の課題
言語の違いは、業務遂行において大きな障害となることがあります。
特にカスタマーサポートやテクニカルサポートなど、顧客対応が必要な業務では、言語の流暢さが顧客満足度に直結します。
言葉の壁を克服するためには、以下の対策が効果的です。
- 言語トレーニングプログラムを確認
- BPO企業が言語トレーニングプログラムを提供しているかチェックし、必要に応じて追加の言語教育が可能か確認する
- 多言語対応
- 初期段階では複数言語に対応できる企業側のスタッフを配置し、顧客のニーズに柔軟に対応できる体制を整える
- 文化的理解
- 言語だけでなく文化的な違いも考慮し、スタッフに顧客の文化やビジネス習慣を理解させる
海外のBPO企業を検討する場合、日本企業の対応実績があるか、言語トレーニングプログラムがあるかなどを確認しましょう。
またBPO導入前や直後の初期段階は、企業側のスタッフを派遣し企業理念やビジネス習慣を指導することも必要です。
注意点③セキュリティ面の課題
データのセキュリティは、海外BPOを利用する上で最も重要なポイントの一つです。
業務を海外に委託することで、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まるため、強固なセキュリティ対策が求められます。
セキュリティ面に関しては、以下の点に注意しましょう。
- セキュリティポリシーの確認
- BPO企業のセキュリティポリシーを詳細に確認し、ISO27001などの国際規格のセキュリティ認証の有無をチェックする
- データの暗号化
- 機密データは必ず暗号化しデータの保護を強化する
- アクセス制御
- データへのアクセスは厳密に制御し、必要な権限を持つスタッフのみがアクセスできるようにする
BPO企業のセキュリティポリシーが自社の水準と同等か確認し、データの暗号化やアクセス制御をすることで、海外のBPOも国内と同じようにセキュリティを維持できます。
また、万が一情報漏洩が起こった場合を想定し、迅速に対応できる計画を前もって策定しておくことも重要といえるでしょう。
選ぶべき海外のBPO各国の特徴
ここまでは海外のBPOのメリットや注意点を紹介しました。
ここからは、より具体的に海外のBPOを検討する場合に参考となる、各国の特徴や動向について解説します。
インドのBPO
インドは、ITサービスやソフトウェア開発の分野で世界的に有名です。
インド政府はIT産業を強力に支援しており、税制優遇やインフラ整備などの政策が進んでいます。
特に、インド南部のバンガロールは第二のシリコンバレーと呼ばれ、マイクロソフトやGoogle、amazon、TOYOTA、ソニーなども拠点を置くほどの成長を見せています。
インド工科大学(IIT)をはじめとする高等教育機関が多くの優秀なエンジニアを輩出しており、インドのBPO企業は、質の高いサービスと高度な技術力を提供することで知られています。
英語でのコミュニケーションに優れているのも特徴で、企業にインド語は使えなくても英語が使えるスタッフがいれば取引できるのもメリットといえるでしょう。
中国のBPO
中国は、製造業関連のBPOに強みがあります。
「世界の工場」として、電子機器や自動車部品の製造において高い競争力があり、豊富な人的パワーと高い生産能力から、製造工程の効率化が期待できます。
地域としては大連、上海、広州を中心にBPO企業が集まっています。
平均年収が約450万円である日本に比べ、中国は約250万であることから、人件費削減も見込めます。
ただソフトウェア関連を中心に日本と中国の人件費の差は縮まってきており、BPO化する業種によっては注意が必要です。
また中国企業に関しては、品質問題やセキュリティ対策が、日本企業に比べると脆弱な可能性があります。
これらのリスクに適切に対応するために、中国でBPO化を進める場合は、事前に日本企業との取引実績やポリシーなどをしっかりとチェックすることが重要といえるでしょう。
ベトナムのBPO
ベトナムは、ITサービスとデジタルマーケティングの分野で急成長をしています。
若くて優秀な人材が豊富で、政府もIT産業の発展を積極的に支援しています。
特に、ベトナムのエンジニアは高い技術力を持ち、英語教育にも力を入れているため、グローバルなビジネス展開に適しているのが特徴です。
また、ベトナムの労働コストは依然として低く、コスト削減の大きな要因となりえるでしょう。
ホーチミンやハノイなどの都市には、ITパークやテクノロジーハブが整備され、多くの海外企業が進出しており、ベトナムはアジアのITにおけるBPOの新しい中心地として注目を集めています。
フィリピンのBPO
フィリピンは、カスタマーサポートとバックオフィス業務でBPOを検討する企業に向いています。
フィリピン人は高いホスピタリティ精神と、アジアで最も高い水準の英語力があるのが特徴です。
アメリカ文化にも深い理解があるので、アメリカと取引がある企業はBtoBのカスタマーサポートでもBPOを検討できます。
また、フィリピン政府もBPO産業を重要な経済成長の柱として位置づけており、インフラ整備や教育支援などの政策を進めています。
人材育成が今後さらに向上することが予測され、品質面やセキュリティ面の向上も期待できると言って良いでしょう。
まとめ海外のBPOを導入し競争力を強化!
海外のBPOは、コスト削減・専門性の向上・コア業務への集中度向上といった多くのメリットを提供します。
インドはITサービスとソフトウェア開発の分野で突出しており、豊富な技術力と高い英語力が魅力です。
また、フィリピンはカスタマーサポートとバックオフィス業務での実績があり、高い英語力とホスピタリティ精神が評価されています。
一方で海外のBPOを検討する場合、品質の維持・言葉の壁・セキュリティ面などの注意点もあります。
それらを踏まえた上で、海外企業と日系企業の商談サポートを行う企業に当たってみるのがオススメです。
BPOに対応する各国の特徴をとらえ、注意点にしっかり対応することで業務の質を向上させ、競争力を強化することができるでしょう。