BPOはコスト削減にも貢献する
BPOの目的は、業務効率化や業務品質の向上だけではなく、「コスト削減」もあてはまります。例えば、人件費の高い先進国から、人件費の低い途上国へ業務をアウトソースすることで、業務オペレーションコストの削減が可能です。また、BPO会社にノンコア業務を任せることで、企業はコア業務に内部リソースを再配置することができます。結果として、本来やるべきではない業務にかかっているコストが削減できるでしょう。
BPOで削減対象となるコストとは?
前述の通り、BPOの活用はコスト削減につながります。具体的には、以下の費用が削減可能です。
- 人件費...給与、賞与、退職金、通勤交通費、福利厚生費、残業代など
- 教育・研修費...導入研修費、社員育成費、資格取得に関する費用など
- 人広告費...求人サイトの掲載料など
正社員雇用の場合、給与は固定費として毎月発生します。仮に事業が衰退期であっても、簡単には社員を解雇できず、毎月給与を支払わなくてはなりません。
一方でBPOは、取引量に応じて費用が増減する外部委託であることから、変動費扱いとなります。そのため、事業状態に応じてコスト配分を柔軟に変えられる点は、企業にとってメリットです。
また、BPOの活用により専門性の高い人材を活用できるため、社員育成に発生する教育・研究費といった経費もカット可能です。更に、求人広告媒体の選定や面接をする時間、求人サイトへの掲載料といったコストも無くなります。中長期的な目線で考えた際、BPO導入は大きなコスト削減に貢献します。
部門・業務別のコスト削減項目
具体的に、どのようなコストを削減できるかを部門と業務別に解説していきます。
ここでは「コスト=実際に発生する費用+労力(工数)」と定義します。
営業部門の場合
営業部門では、以下のようなコスト削減が期待できます。
- 研修費
- 設備・インフラコスト
- 管理コスト
営業代行を行うBPO企業には、実績の豊富な営業人材が揃っています。そのため、社員育成に必要な研修費や、人材採用費といったコスト削減が可能です。
他にもBPOに営業を委託することで、営業スタッフ用のPCや電話、CRMソフトウェアなどのITインフラの購入・保守費用も削減できるでしょう。
また顧客データや営業データの管理も委託できるため、社員はよりコア業務への集中が可能となり、利益獲得や売上向上に繋がります。
マーケティング部門の場合
マーケティング部門の場合、以下のようなコストを削減します。
- 広告運用コスト
- ソーシャルメディア運用コスト
- デザイン・制作コスト
- 分析・管理コスト
BPOでは、市場調査から戦略設計、実行といったマーケティング領域のプロセスを丸ごと委託可能です。特にマーケティング分野では、自社内にノウハウがない業務分野が多いかと思います。そんなときに実行支援だけでなく、自社が抱える課題に対し、実績あるBPO企業から効果的な提案やアドバイスを受けることもできます。
中には、マニュアルの作成やオペレーションの仕組み化まで実現してくれるベンダーもいます。コストの削減効果は大きいと言えるでしょう。
業界別BPOのコスト削減効果
BPOを活用した際のコスト削減効果を、業界別でも見ていきましょう。
IT業界の場合
IT業界では、以下のようなコスト削減が期待できます。
- 開発コスト
- 運用コスト
- セキュリティコスト
ソフトウェア開発を外部の専門業者に委託することで、社内リソースを節約し、開発期間を短縮することが可能です。他にもITインフラの運用や保守を外部委託することで、定常的な運用コストを削減できます。
さらに、セキュリティ対策やデータバックアップといった重要な業務もBPOに任せることで、内部のセキュリティコストを抑えられ、IT環境の信頼性を高められます。
製造業の場合
製造業においては、以下のようなコストが削減できます。
- 資材調達コスト
- 在庫管理コスト
- 品質管理コスト
- 設備投資およびメンテナンスコスト
資材調達や在庫管理、物流の最適化をBPOに委託することで、サプライチェーン全体のコスト削減と業務効率の向上が実現します。また、品質管理業務を外部の専門業者に任せることで、専門知識を活用しながら、品質向上とコスト削減の両立が可能です。
他にも製造プロセスの一部を外部に委託することで、設備投資やメンテナンスコストを削減し、製造コスト全体を抑えることができます。
このように、製造業におけるBPOの活用は、企業の競争力を高める重要な手段となります。
削減幅が大きいのはBPO?人材派遣?
BPOと比較されやすい人材派遣は、正社員雇用の場合と同様、人件費が固定費として発生します。派遣は、原則1名ごとのフルタイム契約のため、例えば、3名合計で正社員1名分の労働時間をシェアすることは難しいのが実態です。メリットとして、社会保険料は派遣先の負担が無い(=派遣元会社が支払う)といった点が挙げられます。
一方、変動費で支払うBPOは、経営リソースに柔軟性を持たせることが可能です。BPOは単一業務の委託ではなく、企業の業務プロセスを一括で委託するのが一般的とされています。派遣社員の委託業務は部分的であることが多く、現場に統括リーダー(SV)がいないと機能しません。業務プロセス全体をアウトソースしたい場合にはBPOが適しており、結果的にコスト削減幅は大きくなる可能性が高いです。
BPO導入で実際にどのくらいコスト削減効果を見込めるか?
結論から言うと、企業やサービスごとに対応範囲や料金が異なるため、一概にいくらとは言い切れません。また、導入前の正社員コストよりも、BPO導入後の費用の方が高くなるケースも多々あります。
そのため、事前に導入成果のゴールイメージと依頼業務の範囲を明確にしておき、長期的な視点で考えることが重要です。
成果指標としては「半年後までに営業バックオフィスのコストを20%削減」など、具体的な期限と削減効果を設定し、すり合わせをしましょう。そうすることで、将来のBPOサービスの比較検討に役立ち、導入後のミスマッチも防げます。
BPO導入前のチェックポイントは、こちらの記事も併せてご参照ください。 BPO導入で 成功するためのポイントとは?注意点についても解説!
- コスト削減効果を発揮するためには、導入成果のゴールイメージと依頼業務の範囲を明確にすることが重要!